アイデア、ヒラメキは、突然に生まれるものではないと思います。

人と出会い、書物を読み、ニュースを聞き、ネット検索をし、笑い、悲しみ、怒り。。。その中の小さな情報を頭の片隅にある引き出しに入れ、何かのときにその引き出しから取り出すことから始まると思います。

誰しも、情報を入れる引き出しは持っていますが、そこに有効な情報を入れられるか、タイミング良く引き出しから取り出すことが出来るかは、個人差があります。

そして、開けた後の行動力によっては、そのアイデア、ヒラメキがどうなるかの命運がかかっていると思います。

この引き出しの出し入れ、そして行動を積重ねると、アイデア力、ヒラメキ力が向上するのではないか。 それを体系的にすれば、新たなセミナービジネスになるのではないか・・と思いながら。。。


▼町家SNSから情報入手

京都市内に「社会貢献室 町家分室」、通称「カスタ君の町家」を設置し、坪庭に面した和室、縁側などを、学生、主婦、NPOなど一般に開放しています。
更に、毎月第二金曜日には交流会を開催し、飛び入り参加者を含め、年齢、職業、男女を問わず、まさに“異業種交流会”として、終わりの時間を忘れて盛り上がっています。

人が出入りする町家を見て、近所の人は「何の商売ですか?」と質問を受けることが多くなりました。
『無料開放している施設です』と応えても、理解されず、長い説明に入ります。
又、町家に交流会などで来られた方も「本業の商品もカタログもなく、どこにビジネス性があるのですか?」と必ずと言っていいほど質問をうけます。

『無料だからビジネスです』と回答しても、これまた理解されず、長い説明になってしまいます。

たしかに、四条烏丸からそう遠くない場所にある町家であり、有料の時間貸しなら収入につながり、誰しも理解できる。
それを、無料だからビジネスと言われても大半の方は、理解できない。

靴を脱ぎ、畳の上の丸いちゃぶ台を囲んで、膝をつきあわせば本音の話しがしやすくなる。
そこから人脈が生まれる。

「ビジネスの基本は人脈」と理解できる人は、この無料の意味がわかってもらえます。

しかし、多くの人はそうではなく、伝わらない。
「事業も順調なのですね。社会貢献のために無料開放できる余力があるのですね。」と言われる人が多い。

そこで、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を例に出します。
あのサービスを利用する場合、殆どが利用料金は無料。
最初は、誰しも、SNSを運営する企業がビジネスになると思ったでしょうか?

デジタル版で成功するなら、アナログ版でも成功するはずで、カスタ君の町家こそが、アナログ版の町家SNSなのです。

年齢、業種、男女問わず、色々な方が訪問されることにより、普通では入手できない情報が入ってきます。
『点字用紙が余って困っているのです』この一言が、新たな発展の情報でした。


▼情報入手から行動へ

京都の視覚障害者施設、京都ライトハウスの方の一言で“訪問”することを決めました。

“百聞は一見にしかず” 皆が知っていることわざですが、人の話を百回聞かなくは分からないことでも、自分の目で見れば一度で済む。つまり、人の話よりも自分の目で見るほうが早い。

ビジネスも同じで、何かを感じる時、疑問などがある時は、自分自身の目で確認に行くことが必要です。
何事でも相手がいることですし、自分も相手も“熱いうち”に会って話しを詰める、これがアイデア、ヒラメキを形に出来る近道ではないかと思います。

今回、点字用紙が余って困っているとの情報だけでは、点字用紙を知らない私にとっては全くイメージがわきませんでした。
とにかく “百聞は一見にしかず” 京都ライトハウスへの訪問でした。


訪問することで、点字用紙、京都ライトハウスの状況がわかりました。

?点字用紙がサイズ毎、どの程度余っているのか。
?展示新聞、雑誌などが、どの程度集まってくるのか。
?京都ライトハウスの点字用紙を再利用した、オリジナル商品はどんなものか。
?商品の失敗、成功事例と販売ルート、販売状況
?印刷機、作業環境(作業台などのスペース、衛生状況)
?人的パワー(新たな仕事の出来る範囲と量)
?他企業が点字用紙の再利用をどの程度行っているか

単に福祉施設の見学(お客様的な見学)ではなく、何かビジネスが出来ないか、そしてビジネスを通じて、京都ライトハウスの利用者の方に貢献できないか。

体を引くのではなく、前向き姿勢で物事を見ることが、何かを引っ張り込む、力の源ではないのでしょうか。

利用者の方の作業様子などを見ていると、一人のスタッフが『こんな紙袋も作っています』と
そっと私の前に出してきました。

『これ!これ!』 困っていたことが全て解決できると思った瞬間です。


▼京のおともだちクッキーに活用

オリジナル商品として、ポチ袋やしおりなどは、想定内の商品でした。
スタッフが差し出した紙袋は、大きさ的にも点字部分が明確にわかり、点字のブツブツがデザイン的に見えたのです。

京のおともだちクッキーの詰め合わせ箱をどうするのか、試行錯誤している真っ最中でしたので、点字用紙との出会いは神様からの贈物と思ったほど感激しました。

販売を開始すると予想以上の好評でした。

手提げ紙袋の側面に『この袋は点字用紙を再利用しました。』と印刷しましたので、この袋を手にとった多くの人は“あっ!”と驚いています。

驚く顔を見て、紙袋の側面に英文も日本語と併記することにしました。
『This bag is made of recycled braillepaper』


▼京都から点字用紙が消えた

京のおともだちクッキー用の手提げ紙袋は、A4サイズ以上の点字用紙を糊付けして作っていますが、このA4サイズ以上は少なく、京都から点字用紙が消えてしまいました。
点字用紙の再利用だけではなく、京都ライトハウスの利用者の仕事が生まれたのです。
目が不自由なので、出来る範囲を分業化しているそうです。
印刷担当の人、紐を通す穴をパンチで開ける人、紐を通す人、紐を結ぶ人、糊付けする人など十数人の方が、京のおともだちクッキーを入れる手提げ袋の製造に関わっておられます。

そして、何よりも嬉しいのが、健常者の方に点字用紙に触れる機会を作ったことです。

まとめると

?点字用紙の再利用 
?京都ライトハウス利用者の仕事確保 
?健常者が点字用紙に触れることにより、社会問題解決の参画のきっかけになれば。

これこそが、カスタネットの企業理念である

『カスタネットは、いつも社会と共鳴する企業をめざし、社会貢献と事業がシンクロナイズする姿を追い求めています。』 の形が一つ追加されたのである。


▼感動の話し

京のおともだちクッキーが嵯峨野トロッコ列車の売店で販売しているのを知った、京都ライトハウス利用者の方が、売店に行き、自分たちが作った手提げ袋が販売されているのを見て、たいそう喜んだそうです。

自分の働きが、形となり、商品となり、実際に売買される。

健常者にとっては、空気のように何も感じないことであっても、ライトハウスの方にとっては、生きている証しであると言っても過言ではないと思います。

そんな場面を作りたい。作ってあげたいと思っていると、アイデア、ヒラメキがやってきた!

そして、ビジネスの神様に好かれる法則が見えてきました。



次回に続く