「京のおともだち」クッキー販売の奮闘記、前号の通り、クッキーのデザインが終わり、型が出来上がるのを待つまでにパッケージを考えることにしました。
一枚毎と箱入り販売するパッケージです。

他社のパッケージを参考にしながら、試作品をいくつも作りました。パッケージ業者にもお願いして試作品も。。。
チョコレート箱のようなものから、台紙にクッキーを固定するパッケージなど色々と試しました。
一番の問題だったのは、販売予定の価格に対してパッケージ代があまりにも高い見積りだったのです。

パッケージの案ができず焦りが出始めた頃。。。


▼最初に小野小町が完成

小野小町の試作品が出来上がった連絡が入りました。
まちに待った連絡でしたので、他の仕事は後回しにして、クッキー職人の所に車を走らせました。

対面した、小野小町クッキー。予想通りの出来でしたが、原画の絵にある繊細さも予想通り、無くなっていました。
私自信としては、100点満点とは言えないが、合格点と思い持ち帰りました。

ここからが、苦労の始まりです。
とにかく、多くの人に見てもらい感想を聞くことにしたのですが。。。

一人目:「賀茂ナス?」
二人目:「ほうき」
三人目:「う~ん。分からない」

クッキーをテーブルの上に置いて見たため、どちらが上か下か分からないため、予想外の感想が返ってきたのでした。
中には、着物を着た人と嬉しい回答があったのですが、誰一人として「小野小町」と言う人はいなかったのです。
やはり、パッケージで「小野小町」であることを表現しなければ、いけないと痛切に感じたのですが、パッケージのアイデアが浮かばない。コンビニに行ってもお菓子売り場を眺める毎日でした。

「小野小町」から遅れること約2ヶ月。舞妓さん、新撰組、牛若丸の三種類が出来上がりました。
この段階でもパッケージが決まらず、原画をシールに印刷、外袋に貼ることにして、テスト販売を行うことにしたのです。

結果は。。。世間の評価、売れ行きも、もう一歩でした。。。


▼社会企業家が好きな神様がやってきた

カスタ君の町家で仕事をしていると、大家さんが預かり物を持ってきてくれました。
それは、カスタ君の歳時記が印刷されている点字用紙の“うちわ”であった。
そう言えば、以前に社会福祉法人 京都ライトハウスの方が町家に来られ、点字用紙が大量に余っている話しをされ、カスタ君のデザインを使用して作品を作って頂けることを思いだしました。

その“うちわ”を見ながら、何か点字用紙を活用できないかと思っていたところ。。。
ビッグな閃き! 創業後、何度か体験したあの閃き! でした。
(日本初と言っても過言ではない閃きなので、現時点では公開できません)

早速、京都ライトハウスの担当の方にメールと電話をして、試作品と見積りをお願いしました。
数日後、試作品が出来上がった連絡を受け、初めて京都ライトハウスに行き、体の不自由な方でも頑張って働いているところを見学させて頂きましたが、そこには点字用紙で作った、しおり、封筒などが置いてありました。その前で私は『これ!これ!と恥ずかしさも忘れて大声を出しました。』それは、点字用紙で製作した紙袋を見つけたからです。

箱のパッケージではなく、この点字用紙で作った紙袋にクッキーを入れて販売することを即決しました。

担当の方に、紙袋について尋ねると。
京都紅茶倶楽部というお店が、点字用紙を色々使用して紅茶を販売しているとのこと。
その方は、色々とアイデアを持ってくるそうなので、紹介して頂くことをお願いしました。


それから数日後、アポも入れず、京都紅茶倶楽部のお店に立ち寄り、忙しい時間帯にもかかわらず、厳しい指摘、アドバイスなどを頂き、一番驚いたのが点字用紙を使用していることが、競合他社との差別化につながっているとのことでした。
最後に見せて頂いたのが、三種類の紅茶を入れて販売しているパッケージでした。台紙を少し折り返す部分があることにより、高級感があり、点字用紙の点がデザインのように見えたのでした。
『これ!これ!これです』『これなら、裏面にカスタ君の歳時記も印刷できます。』

点字用紙のつながりで、曇り空が快晴の空になった感じでお店を後にしました。
今から思えば、野球の9回裏の攻撃。無得点。ツーアウト。ツーストライク。最後の1球でサヨナラ勝ちが出来た気分です。

社会企業家の神様は、あの京都紅茶倶楽部のお店にいるのかもしれませんね。


▼快晴→曇り空

頭の中に素晴らしい余韻が残る状態で、点字用紙を使用し、それを台紙にする見積りをお願いしたのですが、カスタ君の歳時記を印刷すると、両面カラー印刷になりコストが跳ね上がったのでした。
印刷コストは、一度に何枚印刷するかによって大きく違ってきます。点字用紙の再利用では、もともとの紙の大きさが小さく、一枚毎のクッキーパッケージには適さないことが分かりました。

次に、台紙の折り返しはそのままにして、和紙印刷で見積りをとるこにしましたが、これも不可能でした。

その夜、テレビを見ていると。。。
秋葉原で売られているお菓子のパッケージ特集をやっていました。箱を工夫することにより、中身が同じお菓子でも、工夫していないパッケージに比べ、倍の月に10万箱も売れているには驚きでした。

諦めかけていたパッケージ。もう一度、考えようと思った瞬間!
全てクリアする簡単な方法を思いだしたのです。
何故、もっと早くこの方法が出なかったのか、自分自身に反省しました。

親しくさせていただいている株式会社ニューリー製の立体スキャナー(商品名はスキャメラ)で、和紙をスキャナーして印刷すれば、通常のカラー印刷できます。しかも、オフセット印刷で同時に印刷すれば、価格は激安になります。
直ぐにニューリー様にお願いしてスキャナー処理、それを印刷業者に持ち込み画像処理など準備を進めました。
台紙の大きさからオフセット印刷の一枚から32面の台紙が印刷できることがわかり、歳時記のデータを社内のサーバーから取り出し、印刷業者に渡しました。


▼カスタ君の歳時記について説明

もうニ年程、前の話しになると思います。
当社は、土地、建物の資産、知的財産もありません。そこで、思いついたのが京都の歳時記をデザインして、その中にカスタ君を入れる『カスタ君の歳時記』でした。
早速、デザイナーと打合せを行い、着手しました。
将来、何かでカスタ君の歳時記デザインを使用できる日が来る。それが当社の財産になる。
そんなことを夢みながら、先行投資を続けました。

途中、完成したデザインで名刺の台紙をつくり、そのデザインの評価を繰り返しました。
歳時記の名刺を持っておられる方も多いのではないでしょうか。

一人のデザイナーでの作品なので、デザインタッチも同じです。優しい、ほんのりとする
デザインと好評です。

最終的には、365デザインを目標としています。
100デザイン程度完成すると、原画展などのイベントやポストカードなど他の商品に展開が可能になるかと思っています。

ただ、デザイナーも含め大変なチャレンジなのです。


台紙印刷が出来上がるのを待つ日が続いたある日。 トラブル発見!

次回に続く


Written by 植木 力株式会社カスタネット 代表取締役)