(株)カスタネットの植木です。

行く前の宣伝が大きすぎたのか、電話、メール、そしてお会いする人から"カンボジア(竣工式)"について質問を受けています。
11日のKBS京都テレビ出演、新聞掲載後はその数が増えています。

連絡がつかない、カンボジアに逃避しようかな~。


▼ カンボジアの状況を伝える難しさ

カンボジアの隣国のタイには、日本人観光客、ビジネスマンがたくさんいます。
カンボジアまで直行便がなく、タイで乗り換えとなり空港ロビーでは、土産を買っている日本人が溢れていました。

そのタイからプノンペンまで搭乗した日本人は数人。3泊したホテルでは1人。
プノンペン市内で出会った日本人はゼロ。
帰りタイまでの搭乗は1人。
プノンペンは首都でありながら、日本人が少ない国(街)です。

日本人が行かない(知らない)ところを活字で説明するのは難しい。。。
例えば、今回は雨季だったので緑が多い国と書くと、乾季に行った人との感想とは大きくかけ離れてしまいます。
あくまで、カンボジアのある一面にすぎないことを理解した上でお読み下さい。


▼ USドルに侵略された国

独立した国でありながら、USドルが自国の通貨の様(それ以上)に使用されています。
ポルポト政権時に通貨が紙切れになった体験からすると、USドルで決済する方が安心なのであろう。

また、カンボジアは約半分が海外からの援助で成りなっていると聞き(詳細な数字は未確認)それもUSドルに侵略されている理由の一つと思います。

物価をUSドルで説明すると、公務員(クラスは不明)月収20ドル、市内タクシー5ドル(乗用車)、村にあるレストランでの昼食8名で19ドル、外人が多いレストランでの夕食5名で55ドル、土産用Tシャツ1~2ドル、田舎の平均月収限りなく0ドル(自給自足)、買春料2ドル~(聞いただけなので詳細は不明)


▼ 貧富の差が拡大中

貨幣価値の感触がスッキリしない。
それは、都会(プノンペン)と田舎。
官僚と庶民の貧富の差が生まれているからかもしれません。
田舎から夢見てプノンペンに出てきても、仕事がなく(少なく)夜の商売に入ったり、麻薬に犯される場合も少なくないらしい。。。

今回驚いたのが、カンボジアにデパートが出来ていました。
人はいるが買い求めている人は少ない。
でも買う人もいる。
更に、そのデパートの美容室には、顔に白いパックをした人がズラリ。

   エ! 白いパックをしている中に男性がいる!

   このカンボジアはどうなっているのだ?! 

政府や軍の高級官僚は、豪邸に住み、高級車を乗りまわしている。
きっと国際援助金の一部は、そんな人の懐に入っているのに違いない?

チョットまてよ! どこかの国と似ているぞ! 
つぶしがきかない年齢になってからリストラで職を失い、公園でテント生活。
一億円も貰って記憶にないと言っても通じてしまう。
借金しても棒引きしてもらえる企業があったりする。

一部の人間だけが得する社会は、どこかの国だけで充分なのだが。。。。


▼1年半前との違い

大きく変化しているカンボジア。
正しくは首都のプノンペンと言った方が良い。
バイクタクシーに3人、4人が乗っている姿は変わっておらず、そう驚きはありませんでした。
しかし、市内には自動車が増え(日本車が多い)信号の無い交差点も多いので、交通事故が問題になると思う。

ガソリンスタンドも出来ており(ガソリンの瓶売りも残っている)市内の風景が大きく変わっていました。

縫製工場も出来ており、若い女性の働きに行く姿も見ることが出来ましたが、聞くところによると"中国の下請け"をやっているそうだ。
昔しの映画「野麦峠」を思いだす。
同じ悲劇が生まれているのではないかと思うと胸が痛くなった。

今回、プノンペンから北に約100Kmの村まで行くことが出来たが、その途中の学校の校舎、1年半前の悲惨なものは見受けられなかった。
国際援助の成果は出ているようだが、奥地の学校などの状況はわからない。


▼ 学校の状況

改築された校舎は、雨漏りもなくなり、通気性も良くなっているが、今回のトレア小学校を含め、どの学校も多くの問題が残っています。
まず、現在の授業は午前と午後の2部制となっているのを、1部制に変更を検討しているようだが。。。

1部制になると、教室が足らない(単純計算では倍必要)。
給食を学校で食べることになるが、給食設備が全くない。
自然とトイレも必要である。
職員室(教職員も)、図書室(現地語の図書も)。。。

しかし、校舎などの箱物は、世界からの援助があれば何とかなると思います。
問題なのは、授業内容の充実=教職員への教育などのソフト面が求められている。
日本の先生方も研修でカンボジアに行かれることをお勧めします。
何かが不足している日本教育を発見されるのではないでしょうか!

また、農作業は殆どと言っていいほど、機械化されていません。
農繁期は子供たちも"戦力"になっている。
はたして、学校に行けるだろうか。。。
学校に行き勉強することも大切だが、目先の生活に困っているのも事実である。

勉強することにより、高収入が得られる職につくことが出来れば、良い方向に歯車が廻るのだが、職がなければ逆回転(勉強しなくなる)してしまいます。
やはり、カンボジアの教育問題は経済と表裏一体である。

もう一つ、日本では少子化が問題だが、カンボジアはその逆である。
子供の数が多過ぎて、教育が追いつかない。
そして、子供たちは大人になっていくが、村では職がない。
海外出稼ぎ国のフィリピンの様になってしまうのか!

日本は、戦後のベビーブームの子供たちを高度経済成長期が受け皿になった運の良い国だったと思いますね。


▼水俣の悲惨さをカンボジアに伝えなければならない

熊本の水俣裁判がやっと結審した。
水銀は流されないとしても同じ様なことがこのままだとカンボジアで起こります。
生活廃水も工業排水も川に流されていて、その川では水上生活者を中心に多くの人が漁業で生計を維持しています。
農薬、洗剤などからの環境ホルモンも重要な問題である。

隣国ベトナムではベトナム戦争時の枯葉剤で不幸な子供が生まれています(カンボジアでも生まれていると思います)が、戦争ではなく、経済で同じ過ちは繰り返してほしくありません。


▼ トレア村竣工式

10月13日にプレス発表した内容です。

株式会社カスタネットカンボジア小、校舎完成竣工式報告

オフィス用品販売の株式会社カスタネット(本社:京都市南区/社長:植木力)は、レーザープリンターの使用済みトナーカートリッジを財源に、建設を進めていたカンボジアのコンポンチュナン州ロレイアッピア郡トレア村、トレア小学校の新校舎が完成し、『竣工式』が10月4日(月)現地にて盛大に開催されました。

竣工式は、郡教育長、地区評議会代表などの来賓と、生徒414人、村人約300人が集まり、村上げての大イベントとなりました。
全員での出迎えの後、僧侶によるお経、来賓挨拶、(財)国際開発救援財団カンボジア事務所長の挨拶に続き、当社植木の挨拶、テープカットの後、除幕式(建設看板)が行われました。

日本全国から寄せられた文房具及び京仏具小堀と百々小学校(山科区)からの金箔カスタネットの贈呈式も行いました。

竣工式終了後、ボランティアの早川美智子(長岡京市)他2名とともに、金箔カスタネットによる演奏会"大きな栗の木の下で"と持参した折り紙による"折り紙教室"(かぶと好評)を行い、子供たちと交流を深めました。

今回、カンボジア国立小児病院の視察から、小児科病棟建設の新たな活動も視野に入れました。(約30万ドルと高額なため実施時期は未定)


▼ 借金は残っていますが、一つの目標が達成しました。

中古文房具の寄贈とは違い、全国から寄せられた善意が"かたち"となった瞬間です。
しかし、使用済みトナーカートリッジで建設費の全額である350万円を確保した様にニュースリリースの原稿では書きましたが、大きく足りていません。
(財)国際開発救援財団 http://www.fidr.or.jp/ に実質借金が残っています。

これを早く、何とかしなければ次の目標(小児科病棟建設)の活動に入ることが出来ません。

使用済みトナーカートリッジを提供して頂ける企業様を是非ご紹介下さい。
info@castanet.co.jp まで。

ご支援して頂いた方々に報告しなければならないのですが、その方法を考えている最中です。
メディアに取り上げ頂くのも、一つの報告になると思っています。。。

ここまで、来るのに色々な出来事がありました。
内容的には、本を数冊書ける程の出来事があったと思いますね~。
ベンチャー企業であっても(赤字企業であっても)ここまで、出来ることを多くの方々に知っていただく事が出来ました。
これも、全国からご支援を頂いた方々のお陰です。

            『ありがとうございました』


Written by 植木 力株式会社カスタネット 代表取締役)